フィンランド(EU圏)に猫や犬を連れて行く方法


猫がフィンランド(EU圏)に旅立つ方法

EU圏内に猫や犬を連れて行く際はマイクロチップと狂犬病ワクチンが必須

僕はフィガロという猫と共にフィンランドにやってきました。猫にとって長時間フライトはかなりのストレスなわけですが、フィガロはちゃんと頑張ってくれて、フィンランド到着後はまたすぐ元気いっぱいな猫に戻りました。今回の記事では、猫や犬、フェレットなどのペットをフィンランド、もしくはEU圏内に日本から連れていく方法を書き残しておきたいと思います。ペット共にEU圏内に移住・旅行を考えている方は、ぜひ参考になさってみてください。

猫や犬をEU圏内に連れて行く際に絶対的に必要なのは狂犬病ワクチンの接種とマイクロチップです。日本ではたぶん、通常は犬しか狂犬病ワクチンは摂取しないと思いますが、EUに連れていく場合は猫でも摂取が必要です。フィガロももちろん摂取しました。

そして日本では狂犬病ワクチンは2回摂取する必要があります。始めて狂犬病ワクチンの接種を受ける時は、最初の摂取から約1ヵ月後に2回目の接種を受けます。もし1年以内に猫や犬と一緒に日本に帰国する予定がある場合は(特に旅行者)、必ず離日前に2回摂取しておいてください。そうしなければ帰国時、ペットは外国から日本に入ることはできません。

EU圏内の場合は狂犬病ワクチンの接種は1回だけで大丈夫です。これに関しては僕は、ペットを管轄するフィンランドの食品局に何度も直接確認をしたので間違いありません。実際フィガロも狂犬病のワクチン接種は1回だけです。この1回のワクチンが有効期限内でなおかつ摂取から21日以上経過していれば、問題ないフィンランドやEU圏に入ることができます。ただし、EUを離脱したイギリスに関してはペットに関するルールがやや異なるようですのでご注意ください。

マイクロチップは必ず狂犬病ワクチンの前に装着しよう!

と、その前に、EUではマイクロチップの装着が義務付けられています。ですので狂犬病ワクチンの接種を受ける前に必ずマイクロチップを装着してください。この順番がとても重要で、必ずマイクロチップを装着してからワクチン接種を受ける必要があります。そうしないとマイクロチップにワクチン接種済み情報を入れることができません。

フィガロの場合はワクチン接種とマイクロチップの装着を同時にやってもらいました。ワクチン接種の針は人間用のワクチン接種時の注射針と同じなので、たぶん少しだけチクッとするだけだと思います。ですがマイクロチップ用の注射針はボールペンの芯くらいの太さのため、かなり痛いと思います。ですのでここは家族である猫や犬の性格や、痛みへの耐性を考慮しながら2回に分けるか、同時にやってもらうかを検討されると良いと思います。

獣医さんに書いてもらう必要がある書類は2種類

さて、マイクロチップを装着して狂犬病ワクチンも摂取したら、次は獣医さんに書類を書いてもらう必要があります。下記がその書類の一覧なのですが、EU用(英語)と、日本の検疫所用(日本語)の2種類の書類があります。EUの書類は数ページで、日本用は1枚だけです。

🐈 EU用ペットの検疫書類の書き方ガイド
🐈 EU向けペット検疫用書類
🐈 日本向けペット検疫用書類
🐈 日本の動物検疫所の連絡先一覧

この書類を書いてもらう際の注意点としては、まず日本用は消しゴムで消せるボールペンの使用は不可です。必ず、消せないインクのボールペンで書いてください。そしてEU用は黒ではなく、必ず青系のボールペンで書いてください。「黒いボールペンはダメ」とEU用の書類内で指示されていますので、両方とも消せないインクの青いボールペンで書けば問題なしです。また、これらの書類の日付は渡航の10日前以内を指定されていますので、早く作りすぎないようにしましょう。獣医さんに書いてもらうのは、必ず渡航直前の10日以内の日程にしてください。フィガロがお世話になった獣医さんはとても柔軟で、実際に獣医に行ったのは一週間前でしたが、念のため渡航5日前の日付で書類を書いてくれました。

ちなみに両方の書類共に、自分で書ける場所がいくつかあります。例えば名前や連絡先、住所、滞在先などは自分で書けると思いますので、このあたりは自分で埋めておいて、医療情報だけを獣医さんに書いてもらえば良いという状況にしておくと、獣医さんも助かると思います。

フィガロがお世話になった獣医さんは最低限の英語力があったため、EU用の英語の書類も難なく書いてもらうことができました。ですが中には英語が得意ではない獣医さんもいると思いますので、このあたりは英語が苦手な獣医さんが困らないように準備しておくと良いかもしれません。

なお上記書類は僕がフィンランドに来た2023年時点のものですので、書類は必ず最新の物を取り寄せて書いてください。日本の動物検疫所にメールを送ると最新の書類を送ってもらえます。僕は成田空港の検疫所に問い合わせましたが、検疫所からのメール返信は3〜5日程度かかります。メールのやり取りにかなり時間がかかりますので、ここは時間に余裕を持って連絡した方が良さそうです。

書類が集まったらNACCSを入力して実際に検疫を受けに行こう!

EU用の検疫書類、日本用の検疫書類、マイクロチップ装着証明書、狂犬病ワクチン接種の証明書がすべて揃ったら、今度はNACCSというサイトから日本で実際に検疫を受けるための申し込みを行います。これは猫や犬の種類、ワクチン摂取情報などなどを自分でオンラインで入力するだけです。分かりにくいですが、でもよく読めば誰でも簡単に入力し終えることができます。

書類の画像をこのNACCS入力時に添付しますので、各書類はあらかじめ写真やPDFにしておきましょう。そしてNACCSの入力は最初は間違ったり、書き漏れがあったとしても大丈夫です。入力をすると数日後に「こことここが入力されていないので、こんな感じで入力してください」と、優しく教えてくれるメールが届きます。

僕の場合はNACCSを入力後、だいたい5日後くらいに最初のメールが届きました。こちらもすぐには案内メールは届かないので、NACCS入力後は気長に待ちましょう。そしてすべて漏れなく入力が完了すると、検疫を受けるための日程調整が行われます。僕とフィガロの場合はフライトが午前中だったため、前日の午後に検疫を受けることになりました。ちなみにフィガロが検疫を受けたのは成田空港の第一ターミナルです。

成田空港の検疫所でかかった時間はわずかに45分程度

検疫を受ける時に必要なのは猫や犬などの本人。そして各書類の原本です。コピーや画像ではなく、必ず原本を忘れずに持っていってください。多分検疫所からの案内でも「必ず原本を持ってきてください」と案内されると思います。

実際の検疫は、まず書類をすべて職員の方に渡します。すると内容をチェックして、フィンランド(EU圏)の空港で見せるための、公式の青インクのハンコがたくさん押された英語の書類セットを作ってくれます。そしてその職員の方が猫や犬の健康状態を簡単にチェックします。フィガロの場合は猫バッグから出るのを嫌がったため、バッグに入った状態で職員の方が体とお尻を数秒触って確認をするだけでした。すでに獣医さんが健康を確認していることもあり、検疫所ではごくごく簡単な健康チェックしか行いません。

書類を作る作業は近くで見ていたのですがなかなか大変そうで、かなりの時間を要していました。フィガロの健康チェックはたぶん1〜2分程度で終わったと思うのですが、検疫所でトータルでかかった時間は45分くらいでした。僕の場合はフィガロひとりだけだったので短時間で終わりましたが、猫や犬を2人、3人と連れて行く場合はたぶんもっと時間がかかるのだと思います。

そして検疫が終わるとEUに提示するための書類と、猫バッグに付けるための「検疫済みタグ」を受け取り、あとは帰るだけ、もしくは飛行機に乗るだけです。

キャリーバッグに付ける検疫済みタグ
検疫済みタグ

成田空港でのチェックインからヘルシンキの空港までの流れ

検疫を受け終えたら、正式に日本を出国してフィンランドに向かえる準備が終わったことになります。ここまで複数回獣医さんに行き、検疫所にも行き、ようやくフライトの当日。ちなみにペットがいる場合はオンラインチェックインはできないようです。僕はオンラインチェックインができるチケットを購入していたのですが、フライト前日に「オンラインチェックインができませんでした。当日はチェックインカウンターでチェックインをしてください」的なメールが届きました。

念のためフライトの3時間前に空港に着くように出たのですが、正解でした。チェックインカウンターは3時間前でも長蛇の列で、たぶん列に並んでチェックインできるまで1時間以上かかったと思います。なおカウンターの横にはチェックイン用の機械もあったのですが、ほぼ誰もこれを使っていませんでした。僕の場合は猫連れだったためオンラインチェックインや、機械を使ったチェックインができないようでした。

飛行機のチケットはもちろん猫と一緒に座るためのものを買いました。僕が使った航空会社の場合、猫+ケージの重さが8kg未満の場合、ペットと一緒に座席に座ることができました。この重さに関しては、僕が調べた限りどの航空会社もほとんど同じでした。

さて、チェックインカウンターで順番が来たら実際の猫を軽く見せて、検疫所で作ってもらった書類を見せます。するとカウンターの航空会社の職員の方がそれをコピーし、座席を用意してくれました。並んだ時間はかなり長ったのですが、チェックインそのものは特に戸惑うことなく滞りなく済みました。ちなみにペット連れの場合、基本的には窓側の席になるようです。

チェックインした後は実際に飛行機に乗って、フィンランドまで半日以上かかるフライトです。ちなみにフィガロは緊張してしまい、フライト中はおしっこもウンコもできず、水も飲めず、ご飯も食べられませんでした。本当はフライト中にちゅ〜るをあげたかったのですが、飛行機内に持ち込めるのはドライフードだけだったので断念。

長いフライトが終わりようやくフィンランドに到着したら、まずパスポートにハンコを押してもらい、スーツケースを受け取り、その後警備員がいる感じの場所に行きます。ヘルシンキの空港の場合、スーツケースを受け取るターンテーブルのすぐ目の前にその場所があり、警備員さんに日本の検疫所で作ってもらった書類を見せました。

警備員さんはチラッと猫を見て軽く撫でて、書類を確認して、マイクロチップリーダーでマイクロチップがちゃんと装着されているかを確認するだけでした。たぶん3分くらいで終わりました。この警備員さんも、パスポートにハンコを押してくれた方も猫が大好きだったようで、優しい対応をしてくれてとても安心でした。

これにて猫をフィンランド(EU圏)に連れて行くミッションはコンプリートです!たぶん犬もフェレットも同じ感じの流れになるのだと思います。

ちなみに空港を出た後はすぐに公園を探し、フィガロの旅行用トイレを組み立て、日本から持ってきた猫砂を入れました。でも残念ながらこれは使わず、旅行用トイレを完成させた瞬間に猫バッグ内のペットシートの上でおしっこをしました(笑)

そしてずっと食べられなかったため、ヘルシンキですぐにウェットフードを買いました。ちなみにいつもは去勢猫用のプロプランを食べているのですが、機内ではずっと食べられなかったため、念のため消化が良さそうなウェットフードをあげました。するといつも通りスープだけ飲んで具は残すっていう食べ方をして、少し元気を取り戻した。

乗り継ぎ時に目的地以外の国に入国する際は要注意!

なおこの時、乗り継ぎをされる方はご注意ください。乗り継ぎ時に空港を出なければ特に問題はないのですが、もし乗り継ぎ時に空港を出て短時間でも入国する場合、その国で「うちの猫(犬)はこの国では他の動物に一切接触していません」的な書類が必要になるようです。

また、その乗り継ぎ国がEUではない場合にそこに入国する場合は、EU用の検疫用書類とは別の書類が必要になると思いますので、このあたりも乗り継ぎをされる際はご注意ください。乗り継ぎ国がEU圏内であれば、EU用の書類が1セットあるだけで大丈夫です。この書類も提出するわけではなく、ヘルシンキの空港で見せた後もすぐに返してくれて、今も僕の手元にそのまま残っています。

オムツが大丈夫な子なら、フライト中はオムツがベスト

僕とフィガロは今、フィンランドのケンペレという小さな町にいます。アパートに着き少し経つと、フライト中はずっと緊張状態だったフィガロもすぐに元気一杯に戻り、食事も水もトイレもいつも通りに戻りました。新しいアパートにもすぐに慣れて、キャットタワーのてっぺんのハンモックからニャルソックするのが日課です。

猫や犬の性格によっては、フィガロのようにフライト中ずっと大人しくしていることができず、騒いだりおしっこしまくったり、ケロったりしちゃう場合もあるかもしれません。フィガロの場合はとりあえずおしっこを最も警戒し、猫バッグには4重にペットシートを敷き、おしっこをしたらすぐに1枚剥がしてフィガロがおしっこで汚れないように準備しました。ですが結局フィガロの場合これはほとんど必要ありませんでした。

ちなみに最初は猫用オムツを考えていて、フライトの1ヵ月前くらいから練習を始めました。ですがフィガロは本当にオムツが嫌いだったようで、オムツをつけようとすると本気で怒るし、着けた後も暴れてあっという間に外してしまい、残念ながらオムツは断念しました。もしオムツが大丈夫な子でしたら、オムツが一番楽だと思います。

という感じで僕とフィガロはフィンランドにやってきました。もしペット連れてEU圏に来られる際は、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

オムツを付けられ激怒するフィガロ
オムツに本気で怒る猫

ブログ筆者:Kaz
フィンランド在住の日本人。フィンランドでスポーツ指導をしたり、日本語を教えたり、 カフェでのんびりしたりしながら、猫のフィガロと元気にやってます。

にほんブログ村 海外生活ブログ フィンランド情報へ